保育園の年長さんにあたる5,6歳のころになると、今までの経験を足掛かりとして、生活やあそびの大部分のことを自分たちで判断できるようになります。大きくなったな~と思う反面、悩みがより複雑になってきて、大人の対応も難しくなってきますよね。
では、保育園で過ごす5,6歳の子どもの様子について、①お友だちとの関係②生活習慣の中で特別苦手なこと③性格(個性)を3つに分けて順番に、その具体的な悩みごとと、解決策についてお話したいと思います。
悩みごと①お友だちとの関係
お友だちと上手く遊べない
この位になると、いつも仲良く遊ぶ「仲間」ができて来たり、クラスのみんなで団結して遊ぶようになってきて、1つの遊びをみんなで協力して継続させようとしたり、遊びの中でもそれぞれ役割を決めて進めていく姿が見られます。(協同遊びといいます。)
そんな中で、「遊びを積極的に進めていく子」と「お友だちが提案した遊びについていく子」という風に子どもの世界でも立場が出来てきたりすることがあります。お互いがその立場を楽しんで一緒に遊んでいるうちは良いのですが、だいたいは「お友だちの遊びについて行く子」の方がいつも意見を受け入れてもらえないという不満を抱くことも出てくるでしょう。
しかし、お互いが一緒に遊びたいという気持ちがあるので、上手く遊べるように子どもなりに考えて遊べるようになっていくので心配する必要はないといえます。
しかし、中には「お友だちと一緒に遊びたいのだけれど、仲間に入れてもらえない」という子もいます。
でも、他のお友だちがその子のことを「嫌い」だったり、「仲間外れ」にしたいという感じではない。むしろ仲間に入れてあげたいのだけれど、一緒に上手く遊べない。どうしてそんなことが起こってしまうのでしょうか・・・。
お友達と一緒に遊べない原因は?
それは、「一緒に遊んでいるお友だち(グループ)の遊びたいイメージやあそびのルールを理解できないから」なんですね。だから最初は一緒に遊んでいても、だんだんグループから離れて一人で遊んでいたり、遊びの中でトラブルが多くなってしまって遊び自体が終わってしまうということになるのです。
子どもとしてはあまりそのことに気付けないので、大人に「~ちゃんが入れてくれない」と言いに来るのです。そうすると大人は「仲間はずれはいけないよ!」と仲間に入れてくれないお友だちやグループの方を注意しがちなのですが、注意された方も「じゃあどうすればいいの?」と思ってしまうことでしょう。
ですので大人はまず、その子とそのグループがなぜうまく遊べないのかを少し離れたところから観察してみると良いでしょう。しばらく見ているとだいたいの原因がわかってきます。
保育園の先生に相談してみよう!
もし保育園で子どもがお友だちと上手く遊べていないと感じるようであれば、担任の先生に「どうして上手く遊べないか」ということを聞いてみましょう。その原因がわかったら、保育園の先生と一緒に子どもがどうしたらお友だちと上手く遊べるようになるかなどを相談してみましょう。
こういった場合、大人は「みんなはこうしたかったんじゃない?」などの上手く遊べない子どもへ向けて「相手の気持ちに気付けるような助言」とグループ全体に「みんながわかるような遊び方で遊ぶようにしたら?」などという「みんなが仲良く遊ぶためのルールを新しく作るという助言」などをその時の状況に合わせて使うと効果的です。
してはいけないことは?
一番してはいけないのは、どんな状況かわからないうちに、「仲間はずれ」と思い込んで相手のお友だちやグループを叱るという行為です。そんなことをされれば、「この子、すぐに大人に告げ口するからいやだ」と思われたり、「仲間に入れないと怒られるから仕方ない」という思いの方が大きくなるので、本当の意味での友だち関係が築きにくいでしょう。
子どもの世界にも人間関係が存在し、大人が思っている以上に難しいこともあります。しかし、人はやはり良い人間関係が築けないと人格が歪んでしまったり、さみしい思いをしてしまうと思います。
幼児期はこれからよりよい人間関係を築いていくための学習の場といえます。みんながまだ学習中ですから、上手くいかないこともあるでしょう。そういった子どもの世界を、大人が子どもと一緒に考えたり、時には励ましたりと支えてあげることが大切な役割といえると思います。
悩みごと②生活習慣で特別苦手なこと
身のまわりのことがきちんとできない
「一通りのことは一人で出来るようにはなったんだけど、なんだかだらしないんですよね・・・」「~してねって言うと、返事は返ってくるんだけど、ささっとやってすぐおしまい!適当すぎるような気がして、大丈夫かな?」
今までは少しくらいきちんと出来てなくてもさほど気にならなかったことが、もうすぐ小学生って思うと心配になってくるのがこの身の回りのことについてです。保育園までは年長さんであってもわりと先生が面倒を見てくれますが、学校は教育が主体の場です。生活習慣のお手伝いまで先生の目が行き届かないと思っておいたほうが良いでしょう。
ですので出来るだけ保育園のうちに、自分の身のまわりのことをきちんと出来るようになっていて欲しいものです。
でもどうしてこんなに出来ないんだろう!?と思いますよね。
きちんと出来ない原因は?
それはお家の人にいつも「早くして!」と言われることが多かったというのが原因の一つであることも考えられます。
この「早くして!」という言葉、ものすごく使われる頻度が高い言葉です。特に急いでいる朝。「早くしないと会社に遅れちゃうよ~!」ということで、子どもも支度に必死・・・。とりあえず行かなくちゃ!ということで保育園に到着。「じゃあまた夕方迎えにくるからね!」お家の人は走り去り、子どももやりきった感でほっとして「ばいば~い」と手を振ります(笑)
そういう子はいつも急いでいますし、自分のことは自分でしないと!とも思っていますので「ささっと支度する」ということは出来るんですが、それが出来ればオッケー!で「きちんと支度する」という考え方がなかなか出来ません。でも今さら直せるかな!?と思うと思いますが、効果的な方法がありあす。
しっかりお家の方が一緒にチェックして習慣付けしてあげよう!
確かに5,6歳にもなればだいたいのことは自分で支度できます。ですので少しくらいだらしなくてもいいので自分でやらせましょう。でも、最後にきちんとお家のひとがチェックをしてあげて下さい。
朝時間がない!という場合は服装や髪型以外の持ち物の準備を前の日にしておきましょう。そして最低限チェックするくらいの時間は出かける前に取ってあげて下さい。そうやって、準備➡最終チェックをするクセを子ども自身にも習慣づけていきます。
ちなみにお家のひとが最終チェックする時には「どこをどんな風にチェックするのか」ということを子どもがわかりやすいように声に出してチェックしましょう。そうすると、だんだん自分でも最後に「きちんとできているかな?」と確認するようになっていきます。
この習慣づけは忘れ物防止にも役に立ちます。この忘れ物、保育園の子どもたちはすごく気にします。「どうしよう!忘れちゃった・・・!!」というのが表情と雰囲気で伝わってくるんです。
このように忘れ物に敏感な時期から、子どもと一緒に準備➡最終チェックを習慣づけることをおすすめします。ちなみに肝心の大人の方がしっかりきちんと身の回りのことが出来ないと上手くいきませんので、苦手かも・・・と思う人は子どもと一緒に出来るようになるといいですね。
悩みごと③性格(個性)
ずる賢くなる
一人で出来ることも増えて、本当に成長したな~と思うと同時に、大人みたいな口調で話をしたり、そんなことどこで覚えてきたの?と思うようなことをしたり言ったりするようになりますよね。
そして時々「ずる賢い!」という一面を見せるようにもなります。今まではやりたくないことを「やりたくない」とか「いやだ」と素直に言っていたけれど、最近は素直に言わないで、こっそりどこかに行ってしまったり、「今忙しいから」と他にやることがあるので・・・という素振りを見せたり。
ずる賢くなる原因は?
一番困るのは「大人が見ている前ではすごく良い子」なのだけれども、「見ていないところでは怠ける子」ですよね。でも一体どうしてそんな風になってしまうのでしょうか。
そうなる理由は「良い子でいないといけない」という思いが強いからなのかなと思います。
こういう子はどちらかというと、弟や妹などがいてしっかりと厳しく育てられた長男・長女の子どもに多いように思います。きょうだいの中で一番しっかりしていないといけない立場で、大きくなるにつれて、親が自分に何を期待しているのかということを感じ取っているのでしょう。
「お兄ちゃん(お姉ちゃん)なんだから」とか「しっかりしているから」とか言われ過ぎて育つことによってだんだん大人に甘えられなくなってしまいます。そして、親の期待に応えられないと褒めてもらえない。可愛がってもらえない。そういうことを経験し過ぎると、「良い子でいないと愛されないのではないか」という不安感を持ちます。
だからといっていつもどんな時も「良い子」でいるのは疲れるから、大人が見ていないところではお休みしているのです。長男・長女でないとしても、「良い子でいないと愛されない」と思っている子にも多いと思います。
確かに親の気持ちとしては「間違えのない良い子に育って欲しい」という気持ちを持つのは当たり前のことだと思います。しかし、子どもが疲れている時は息抜きできるようにしてあげないと、親の見ていないところでコソコソやりたいことをやってしまうようになります。そちらの方が後々問題が大きくなってしまいますよね。
ですので、大人にとって都合よく動くことを「良い子ね」といって褒めて、都合が悪いと「悪い子ね」と咎めるのはやめましょう。「良い子」と言って褒めるよりは「ありがとう」と感謝の言葉を伝えた方がずっと良いと思います。
そして、子どもが疲れて甘えたい気持ちがある時はそこも受け止めてあげることも大切です。そうすると、「いつも良い子じゃなくてもきちんと愛されている」という安心感を持てるようになっていきます。
子どもは賢いので、5歳くらいにもなれば大人から見て「何が良くて何が悪いか」ということをきちんと頭で理解しています。その「賢さ」が「ずる賢さ」になってしまわないように、子どもの行動に違和感を感じたら、その行動の意味を大人が考え、理解してあげられるといいですね。
まとめ
最後にまとめとして、各悩みごとにおける解決策のチェックポイントを整理したいと思います。
■悩みごと①お友だちとの関係 お友だちと上手く遊べない
- 上手く遊べない原因を探る。
- 子どもとお友だちのどちらにも、上手く遊べるように助言する。
- 上手く遊べない経験も学習の1つである。
■悩みごと②生活習慣で特別苦手なこと 身のまわりのことがきちんとできない
- なるべく「早くして!」と子どもをせかさない。
- 子どもと一緒に準備➡最終チェックを習慣づける。
■悩みごと③性格(個性) ずる賢くなる
- 大人の都合で「良い子」「悪い子」と判断して口に出さない。
- ありのままの子どもの姿を受け入れ、安心させてあげる。
だんだん複雑になる子どもの心。成長している証と思いながらも、親が気付きにくいことも多くなっていくことでしょう。そんな時は親子でゆっくり話をする時間が何より大切だと思います。ぜひたくさんお話をして、親子の絆を深めていって下さい。