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もうすぐ進級!保護者の方からよく聞かれる進級に関する心配や不安の内容とそのアドバイス(後編)

もうすぐ進級!保護者の方からよく聞かれる進級に関する心配や不安の内容とそのアドバイス(後編)

もうすぐ進級!保護者の方からよく聞かれる進級に関する心配や不安の内容とそのアドバイス(前編)の続きとして、もうすぐ進級 保護者が不安に思うこと(後編)は、不安③「担任保育士の人数が少なくなるけど大丈夫?」から、その内容とアドバイスをお話していきたいと思います。これを読んで、みなさんの心配や不安が少しでも解消できるといいなと思います。

不安③「担任保育士の人数が少なくなるけど大丈夫?」

3月の終わりごろになると、新しいクラスの子どもの人数(名簿)と担任保育士の発表が保育園からあると思います。そうすると、「あれ?去年までは先生が沢山いたのに、なんだか急に人数が少なくなった気がするな。」と思うことがあるのではないかなと思います。

特に、0歳児➡1,2歳児 1,2歳児➡3歳児 3歳児➡4歳児のところで大きく保育士の人数に変動があるのではないでしょうか。
それは国の基準で、0歳児は3人につき保育士1人以上、1,2歳児は6人につき保育士1人以上、3歳児は20人につき保育士1人以上、4,5歳児は30人につき保育士1人以上と決められているからなのです。

そう決められているといっても、例えば2歳児➡3歳児に進級した場合。ついこの間まではクラスに4人も担任保育士がいたのに、4月になったら担任保育士が1人!?保育士さんは、ちゃんと子どもたちみんなに目を配ることができるのかな・・・。と思いますよね。

実際、4月の現場では保育士の人数が減ったことと、まだ保育園に慣れていない新入園児さんが新しいクラスで生活するのですから、保育士は大変です。あっちこっちで「先生~!」と子どもたちが先生を呼ぶ声がしますし、新入園児さんがお家のひとと離れて寂しくて泣いてしまったりもしています。

しかし、1週間もするとあら、不思議・・・。これがまたそれなりに落ち着いてくるんですよ。そしてさらに1か月が経過すると、ほとんどの子がすっかり新しい生活に慣れてきます。まさにこれが、去年1年間で子どもたちが成長した証です!

ここで去年の1年間を振り返ってみて下さい。去年の4月は自分1人では出来なかったけれど、今はもう1人で出来るようになったことが沢山あるのではないでしょうか。特に生活習慣の面において、1人で出来るようになったことが多いですよね。

ということは、去年まではあの子もこの子も保育士の手助けがないとなかなか生活していけなかったけれど、今はもう手助けがなくてもほとんど生活していけるようになったということなのです。だから、保育士の数が減るのです。

そのことに気が付くと、自分の子どもがずいぶん成長したことにも気付きますし、進級した新しいクラスでの生活を安心して見守ることが出来ると思います。そしてそれと同時に3歳児になったら基本的な生活習慣については、子どもが自立できるようにお家でも身につけさせると良いでしょう。

基本的な生活習慣とは?

基本的な生活習慣とは、清潔(手洗い、うがい、歯磨きなど)、衣服の着脱、食事(箸を使ってきれいに食べようとする)、睡眠(自分で眠ろうとする)、排せつ(1人でトイレでおしっこやうんちをする)などということです。

これらの基本的生活習慣が身に付くと、保育園での集団生活にもあまりつまずきを感じず、お友だちとのあそびや活動にも自信を持って意欲的に、集中して取り組むことができるようになります。

ですが、もちろんすぐに全てを完璧に行えなければいけないということではありません。得意、不得意もあると思いますし、体調があまり良くない時は甘えたい時もあると思います。しかしながら、出来ないままで良いというわけでもありません。大切なのは、出来るようになろうとすることです。

他の言い方をすれば、保育士の人数が減ったということは、1人でなかなかできないことでも、頑張ればできるようになる年齢に達したということでもあります。子どもがなかなか出来なくても、子どもの力を信じて諦めずに教えたりサポートしてあげましょう。

4,5歳児クラスの場合

そしてさらに4,5歳児になると子ども30人につき保育士1人以上となります。ますます1人で出来ることが増えて、大人になっていきますね。それと同時に集団行動の中で学ぶことが重要になってくるということです。小学校に行く前に必要な社会性を育てるためには丁度良い人数ということでしょう。

0歳児クラスの場合

ちなみに0歳児クラスに担任保育士が多いのは、小さければ小さいほど特定の大人との応答的な関わりなどを通して、人への基本的な信頼関係が育つからです。特定の保育士との愛着関係を拠りどころにして、その後、他の保育士や大人と関わろうとしたり、お友だちに関心を持つなど、人間関係が発展していきます。

特定の大人だけではなく周囲への関心が広がっていくのがだいたい1歳を過ぎたころなので、1,2歳児になると6人につき保育士1人以上となるのも理由の一つだと思います。それもまた、子どもが成長した証ですね!

不安④「園での活動が忙しそう!ついていけるかな」

保育園でも学年が上がってくると、運動会や生活発表会でお家の人に自分たちの活動を見てもらうことが多くなったり、年長さんはお泊り保育があるなどして色々な経験をする機会が増えるのではないでしょうか。

クラス内でもお当番活動や係分担、畑の栽培などをしている保育園もあると思います。そんな風に活動が増えたり、内容が濃くなることは良いことだとは思うけれど、自分の子どもが果たしてちゃんとついていけているのか、不安に思う保護者の方もいらっしゃいます。

去年の年長さんはとっても立派だったけれども、うちの子も同じようにやれるかな。途中で嫌になって保育園に行きたくないと言うかもしれないなあと思ったり。楽しみな反面、ドキドキ・・・。期待と不安でいっぱいで、心配する気持ちもわかります。

確かに、お家の方からしたら「上手くいって欲しい!」という気持ちが大きくなるのは当たり前だと思いますし、保育士からしても、せっかくお家のひとに見てもらうのであれば、子どもたちのかっこいい姿を見てもらいたい!と思います。

保育園での活動や行事は子どもたちが自分の力を試すための挑戦の場!

しかしながら、果たして全て上手くいくことだけが子どもたちにとって良いことなのでしょうか。もしそうであるならば、保育士が前もって上手くいくように、活動の内容を全て1人1人の為に準備し、子どもたちにやらせることになるでしょう。

でも、子どもたちにとってその活動を意味のあるものにするのであれば、ただ決められたことをやるだけでは、得られるものはあまりないのではないでしょうか。

やはり子どもたちが生き生きとその活動に意欲的に取り組むためには、子ども自身が選択し、自由に表現できるような内容を、活動の中に取り入れなければならないのではないかと思うのです。

そのように考えると、保育園での活動や行事は、子どもたちが自分の力を試すための挑戦の場になると思います。確かに、保育士は子どもたちの成長や発達に合わせて、大まかな活動や行事の計画は立てます。しかしここで大切なのは、やらせるのではなく、自分でやってみようという意欲を引き出し、挑戦しようとすることになるわけです。

意欲的でない子は?

そのように考えてはいても、中にはなかなか意欲を持つことが出来ない子どももいます。しかしそれでも、その活動や行事を「経験すること」それ自体が子どもにとって大きな財産になると、わたしは思います。

ですので、特に大きな活動や行事を行う前は、「上手くいくこと」が全てではなく、できれば子ども自身が挑戦しようとし、最終的には「経験すること」それ自体に1つの大きな教育的な意味合いがあると思ってもらえたらなと思います。

その挑戦が上手くいっても、あまり上手くいかなかったとしても、そのどちらも子どもにとって財産になります。なぜならこの先の人生において、「上手くいくこともあれば、上手くいかないことがある」ということを、身を持って体験することが出来るからです。

保育園での色々な活動や行事は、他にもたくさんの教育的な意味合いがあります。お家の方にとってはやはりその結果の方に目が行きがちかとは思いますが、その結果に至るまでの過程もぜひ注意して見てあげて欲しいのです。

どんな結果になったとしても、子どもがその活動や行事をがんばってやり遂げたということ、それ自体を褒めて認めてあげて下さい。子どもたちはその温かい親の眼差しを感じながら、また次の活動や行事を楽しみに、挑戦していこうと思うものです。

不安⑤「周りの子と比べると、出来ないことが多いけど大丈夫かな?」

保育園の送り迎えに行くと、自分のお子さんと同じクラスのお友だちに会うことがあると思います。また、参観日に保育園に行き、子どもが普段どんな風に保育園で生活しているか見えると同時に、他の子どもの様子も目に入りますよね。

そうするとふと、「同じ年なのに、うちの子はまだ~できないなあ・・・」と思うことってありませんか?そして進級すると同時に、「いろいろ出来ないことがあるけど、進級してやっていけるのかな・・・。」と不安になるお家の方もいらっしゃると思います。

特に、4歳くらいまでは子どもの成長と月齢に差があることが多いので、この不安は子どもが早生まれ(1,2,3月生まれ)であるお家の方に多くみられるような気もします。
しかしその場合は、5歳くらいまでにその差はほとんど見られなくなりますし、子どもの方も、早くみんなに追いつきたくて、遅くても頑張ろうとしている様子もあるので心配する必要はないと思います。

発達には個人差がある!

しかし、月齢の差以外でも子どもの発達にはやはり個人差があります。その中で、お家や保育園で一生懸命教えても、なかなか身に付かなくて心配になることもありますよね。特にその差が顕著になるのは、ちょうど月齢の差が感じられなくなる5歳くらいだと思います。

それ以前にも確かに差があると感じることもありますが、特に身の回りのことについてはそれまでなかなか身に付かなかった子どもでも次第にゆっくり、マイペースでも確実に身に付いていく子もいます。そういった子も5歳くらいまでに追いついてくることがあります。

ですのでもし、5歳前の子どもが自分の身の回りのことについてなかなか身に付かないなあ・・・と心配になるのであれば、「出来ないことを、繰り返し沢山経験させること。」に尽きると思います。

つまり、「うちの子、周りの子に比べてできないな~」と思うことがあったら、心配するより、出来ないと思うことをどんどんさせることが出来るようになるための第一歩です。また、苦手なことを直接やらせてばかりいると子どもも嫌になってきますから、あそびに取り入れるというやり方もとても効果的だと思います。

どのように子どもに経験させるべき?

例えば、ボタンをすることやお箸を上手に持って食べることなどの指先を使うことが苦手な場合は、おりがみや工作あそびをしてみるなどです。
体は使えば使うほどその動きを記憶していきます。それと同時に脳も活性化しますので、どんどんあそびに取り入れていってあげましょう。

また、何でも一度にしようとすると子どもも大人もいらいらすると思いますので、まずは子どもがしやすそうなところから、重点的に行うと良いかもしれません。

まず何からはじめたらよいかわからない場合は、担任保育士とこれから子どもが出来るようになったほうが良いと思うことを相談し、保育園とお家と両方で練習すると効果的かと思います。

もし、5歳になっていてもなかなか身の回りのことが上手く出来ない場合。今まで、お家のひとがやってあげすぎていたのが原因であるならば、早急に自分でやるように教えてあげて下さい。

年長さんに進級してからの1年間は小学校就学の為の準備期間です。自分1人で身の回りのことが出来ないと、小学校に行ってからつまずくことが多かったり、勉強にもなかなか集中できないことでしょう。子どもの為に、急いで出来るようにしてあげましょう。

それ以外に原因がある場合。例えば情緒が不安定、指示が通らない、理解することができない、多動・衝動的であってなかなか身に付かないという場合はやはり発達障害の可能性も考えられるとおもいますので、担任保育士や専門機関に相談しましょう。

まとめ

最後にまとめとして、③~⑤の各不安について、保育園でしているアドバイスのチェックポイントを整理したいと思います。

③「担任保育士の人数が少なくなるけど大丈夫?」

  • 子どもの成長に合わせて、各年齢の保育士の数は丁度良く決められている。
  • 去年1年間で、子どもが自分1人で出来るようになったことが多いので大丈夫。

不安④「園での活動が忙しそう!ついていけるかな」

  • 保育園での活動や行事は「経験すること」それ自体が子どもにとって大きな財産になる。

不安⑤「周りの子と比べると、出来ないことが多いけど大丈夫かな?」

  • 身の回りのことについては、月齢や個人差による成長の差は5歳くらいになくなってくる。
  • 苦手なことは、お家でも園でもあそびに取り入れたり、重点的に繰り返し行うと良い。

以上、もうすぐ進級!保護者の方からよく聞かれる進級に関する心配や不安の内容とそのアドバイス(後編)でした。いかがだったでしょうか。もうすぐ4月。進級という節目を迎えると、それまではそれほど気にならなかったことが急に心配になったり不安になったりしますよね。これを読んでその心配や不安が和らぎ、新しく始まる新学期を親子で楽しみにできると良いなと思います。

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